雑記@状況はどうだい?

僕は僕に応える。考察とか感想とか分析とか日々の徒然の思考を残しておく場所(の予定)

派遣→バイト→外国人(今ココ)

ネット上で政治的な話をすると、右だの左だのとレッテル貼られたり、勉強不足な部分を突っ込まれてマウント取られたり、揚げ足取られてケンカふっかけられるの嫌なんで、ツイッターとかfacebookとかでそういう話は避けてきたんだけど。

 

でも先日、父親と話してて何となく政治の話になって、最終的にこれが社会の縮図か…と思わされたので、忘れないうちに書いておく。父の主張と自分の主張、まぁ自分は自分の主張が圧倒的に正しいと思ってるんだけど、正しさで世の中は回せないという話。

 

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労働力が足りないっつって外国人労働者を入れるって政策、けっこう賛否分かれてバトルしてるじゃないですか。

で、自分はもう完全に反対派なんです。

なんでかっていうと、その社会モデルの将来がすでにヨーロッパにあって、先行き明るいとは到底思えないから。

 

ヨーロッパの東側、東欧とか中欧とか言われる旧共産圏のマイナー諸国に関わりの深い仕事をしてるんだけど、その辺りで前に日本語教師をしてたことがあって。

でね、その辺りの国々って、EUの中でも西側諸国と全然物価が違うわけ。下手したら3倍とか違う。

でもEU内って基本、加盟国の国民はどこでも好きに移住して仕事できるってルールになってるらしいのね(一応手続きとかはあるんだけど、ビザとか労働許可とかそういう高いハードルがない)。だから、もちろんめっちゃ優秀な人たちはどんどん西側で仕事するようになる。だって給料3倍だから。同じ仕事するなら西へ行く。そりゃそうだ。

するとどういうことが起きるかっていうと、地元では企業が成長できなくなって、条件のいい仕事がなくなる。または企業自体が潰れる。だから、このあたりの国の人って、自営の人けっこう多い。あと公務員。いわゆるホワイトカラーのビジネスマンってのが、割合的に少ないの。

そしたら次、大卒とか院卒とか、ちゃんと勉強してきた若い子たちのまともな就職先が、地元には全然ない。むしろ、西側に行けば、飲食のバイトとかスーパーのレジ打ちとかの方が、地元でサラリーマンやる2倍も稼げたりするという事実。

新卒でキャリアもなく、いきなり西側の優良企業に就職なんて難易度高いし、とりあえず仕事見つかんないならロンドンにでも出稼ぎ行くかーってなる。大卒院卒の優秀な人材(のタマゴ)が軒並み、西欧諸国でフリーターするって事態が、マジで現実に起こってる。そういう元教え子がいっぱいいたので、実感として割合はすごく多いと思う。

 

そんでね、まぁそれに関してはEUの問題だから直接は今回の件と関係ないんだけど、そういうふうに出稼ぎで西側でバイト生活してた友人の話を聞く機会があって。

 

イギリスはロンドン、けっこう大きい飲み屋で出稼ぎバーテンやってた友人の話だと、とりあえず周りのスタッフはほぼ外国人(イギリス人じゃないってことね)。数十人規模のスタッフがいて、ホールも中もバーテンも、基本は出稼ぎ系外国人。

イギリス人は店長はじめ数人の、指示出したり経営面を支える上司枠だけ。

で、たまに平のスタッフでイギリス人も雇われたりするんだけど、彼らは総じて全然働かないらしい。

こんな労働しょうもない、って意識が見え見えで、全然仕事しない。で、すぐやめてく。なんでかっていうと、イギリス国民にとってその仕事は条件が悪いから。

そんな感じで自国民であるイギリス人がプレーヤーとして働いてくれないので、飲食店は基本的に人材不足。でその枠を、出稼ぎに来た東側のEU加盟国の若きホープたちが埋めていく。ネイティブ英語圏じゃない若者が、英語を普通に操って、なんならドイツ語だのフランス語だの、自分の周りで言えば日本語だって話せたりして、超優秀な子たちが「卒業したらロンドン行って、バイトとかで数年働きます、とりあえず」みたいなこと言ってる。英語すでにしゃべれるのに。

 

まぁ、それでその社会が回ってんならいいじゃんって思うかもしれないけど、問題がやっぱりあって。

彼ら出稼ぎ外国人に対して、「イギリス国内の雇用が減って失業者が苦しんでるのは、外国人に仕事を奪われてるからだ」って主張する人たちがたくさんいるんだって。

「いや、あいつら飲食とかレジ打ちとかやんないじゃん。全然仕事しないじゃん」って友人めっちゃキレてた。条件悪くて、人が足りなくて、その枠を出稼ぎ労働者が埋めて、それで社会が回ってんのに、いわれのない誹謗中傷を受けるんだって。「出ていけ」って酔っ払いに怒鳴られたりしたこともあるんだと。

つまり、事実とか理屈とかもう関係ないの。周りでは外国人がいっぱい働いてる、一方で仕事がない、雇用がないって嘆く人がいる。それだけで「外国人のせいだ!」って思っちゃう。思いこんじゃって、怒鳴りつけたり差別したりする。なんだこのジレンマ、「話通じねえんだよあいつら」っていう友人の話、うわぁーって思いながら聞いた。

 

日本でも、これって、遠くない未来の話になるんだと思う。

 

外国人労働者がいっぱい来て、まー今でも都市部ではコンビニとか飲食とか、外国人バイトわりといるけど、それがもっと当たり前になっていくんだよね。

で、たぶんそういう移民組は、職場で出世もできない。未だに女性だからって理由で役職に就けないような企業もあるのに、まして外国人なんてだよなー。そもそも正社員じゃなくて契約とかバイトとかそういうステイタスで働く人が圧倒的に多くなるだろうし。

んできっと、そういう立場でしかも言葉の問題とか文化の問題とかもあって、社会保障とかも受けられない人が大量生産されるわけだ。

ブローカーに借金して来日した手前、帰りたくても帰れず、ブラックボックスの中で訴える手段もなくこき使われる人たちがいっぱい生まれて、貧乏暮らしの外国人労働者が増えて中には犯罪に手を染める人とかも出てきちゃったりして、「外国人のせいで治安が悪くなったし仕事を奪われたし最悪~」とかいう差別の横行する社会になっていくわけだ。

 

こわー。

 

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っていう話を自分の考えとして、父親にしたんですよ。

そしたらサラリーマンあがりの父親はそれに猛反発しまして。

「でも外国人労働者が来ないと、もう日本の多くの会社は立ち行かないんだ」と。

「企業は余裕がなくて、明日を生きるだけで、目の前のことだけで精一杯」

「会社の回し方やシステムの問題を変えようにも、そのカネがないんだ」

「外国人を雇うのが解決法とは思っていないが、目の前の問題に対処するためには仕方がない」

とショウガナイジャン論法を振りかざしてきたので、「いやいや、そういうふうにしか回せない時点でその会社、先見えてるよね?」と言っても「それでもじゃあ潰れろというのか」「明日経営が立ち行かなくなって一家で首吊るみたいな状況でも、お前は外国人を雇わないというのか、死ねというのか」とまで言い出したので(そこまでなるんだったらもっと前に会社たためよ)と言いたい気持ちをぐっと抑えて「白熱したね☆さ、お出かけしよっかなー」っつってリビングを出た。これ以上は議論しても無意味だと判断した。

 

そもそもさ、今まで「自由な働き方!」とかなんとか言って、派遣って立場の労働者が大量生産されて、いつでもクビ切れるし福利厚生もなしで、みたいな裏技で人件費削って生き残ってきた企業がさ、「派遣の権利を!」みたいな風潮が来て「まずいな」っつて派遣切りして、で次は「バイトでも責任ある仕事でやりがいを!」とか言って社員みたいな仕事をバイトにさせて、有給もとらせない厚年にも入れないみたいなんで搾取して、でまた「バイトだってフルで働いてんだったら社会保障いるだろうがよ!」っていう風潮になってきて、「ヤバい」ってなって…って繰り返してきてるわけじゃん。で、相変わらず人件費が上げられないから、次は黙って低賃金で保障もなく働いてくれそうな外国人労働者に頼って、それでまた何とか生き延びようとしてるんじゃん。

そんなふうに次々犠牲にできるターゲットを変えながら、なんとか生き延びてねーって、そんなふうに国が仕向けるような政策だわ、って思うし、そういう企業をそうやって生き残らせるから、人件費を削って削って疲弊していくみたいなビジネスモデルでしかやっていけない企業がブラック上等生き残ってるわけじゃん。未来ないわーって。

 

でもそういうの、通じなかった。

どうやったら人件費削れるかってことばっかり考えて、そうしなきゃ生き残れないってもう思い込んでる相手に、柔軟に他のアプローチする必要あるんじゃない?って言っても、全く再考の余地がなかった。

目の前の父親ひとり、全く説得できなかった事実を突きつけられて、そりゃ社会も変わらんわってなった。

「このままじゃ潰れるー!」って国に泣きつく企業に対して「潰れてどうぞ」って思う自分と、実際に今潰れたら困る企業の人たち。

日本には、後者の方が圧倒的に数が多いんだもんな。

 

だからそこは民主主義。

外国人労働者はきっと受け入れられて、その先の未来が上向きになるとは思えないけれど、この国はそちらへ向かっていく。

 

なんか虚しいなあ。

とりあえず自分だけは自分がやってる自営業の中で、そういう搾取を前提としたモデルで経営はしないぞ、と思ったのでしたまる。そもそも誰も雇ってないけどな!