雑記@状況はどうだい?

僕は僕に応える。考察とか感想とか分析とか日々の徒然の思考を残しておく場所(の予定)

オンリーロンリーグローリーが見せてくれた光の話

自分には、それがなかったら今の自分はいないってぐらい思い入れのある曲ってのが、いっぱいある。

そんでその多くが、BUMPの曲なんだけど。

(そのへんのBUMPレベルに関しては、前書いたやつを読んでくれたら、あーこの人こういうファンなのねってのがなんとなく察していただけるかなと)

 

その中でも、表題のこの曲。

「オンリーロンリーグローリー」。

これは、自分の人生を変えてくれた曲だと思ってる。

というより、変えようかと思った瞬間に背中を押してくれた、という方がより近いかな。

 なんでそんなふうに思ってるのかってのを、長々と自分語りで申し訳ないけど、まぁここはそういう場だと開き直って、徒然書いていこうと思う。BUMP聴きながら。

 

 

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大学を卒業してから、地元を離れて東京で数年サラリーマンをしていた頃の話。

その頃の自分は、人生で間違いなく一番、病んでた時期だった。

 

 

始まりは、たぶん誰もが躓いたり悩んだりする、就活からだったんだよね。

自分は大学では専門が外語系だったので、在学中は中欧のとあるマイナー言語を勉強してて、留学とかもしてみたりして。それが超楽しかったのと、もともといつか外国で働いてみたいって気持ちがぼんやりとあったから、将来は何かのタイミングが合えば、この国で仕事できる機会があればなーなんてことも思ってたり、そんな大学時代を過ごしてからの、就活。

 

でもマイナー言語って実は日本だと新卒の就職で必要とされることってあんまりないというか、それよりとにかく英語、TOEIC800点取ってナンボみたいなとこがあって(自分は英語は得意じゃなかった)、マイナー言語は+αで持ってればどこかで役に立つかもねーぐらいな感じでしかアドバンテージになんないって現実があって。

そもそも多少マイナー言語が使えたって、それはあくまで自分が持ってる技術であって手段でしかない。

それを使って何がやりたいのかってとこが根幹の問題で、自分には具体的にやってみたい仕事っていうものが恥ずかしながら何にもなくて。

さらにそんなマイナー言語縛りで就職先を探してみても、選択肢自体も全然なく。

 

それでとりあえず、習得した言語は一旦横に置いといて、新しい世界を見るのもいいじゃん、何となくよさげだと思ったとこ受けてみるか!みたいな感じで就活を始めて。

あと東京!首都経験したい!みたいなのもあったから、最終的に、その言語や国とは全く関連のない、東京のあるメーカーに営業として入ることになりまして。

でもその職種にも業種にも強いモチベーションはなかったから、正直「こんなもんでしょ。土日休めるんだし、余暇を充実させたキラキラ大人になるんだ♪」みたいなゆるーい感じで社会人デビューを飾ったわけです。

 

 

でも入ってみて、まーほんと社会の洗礼を色々受けまして。

始めは楽しめる部分も無くはなかったけど、往復二時間の満員電車通勤に、多くはないけど残業もあって帰宅は毎日9時ごろ。

平日は帰宅すると疲れで何もできず、飯食って寝るだけ。消耗の一途。

週末も「なんでわざわざ休みに疲れることしなきゃならんのだ」と出かけることが少なくなり、「外の世界」のことを考えると現実とのギャップに憂鬱になるので、留学時代の友人ともだんだん疎遠になって。

そのうち好きだったアニメも漫画もゲームも、現実に戻るときの辛さが勝るようになって、手が出なくなった。

家ではなるべく布団の中にいないと、疲れがとれなくて明日辛いんじゃないかって不安になるようになり、休みの日は朝も昼もなくずっと寝たまま。

夕方ぐらいに低血糖でクラクラし始めるので、食パン食べてまた寝る、みたいな。

仕事はもうずっとモチベーションを持ててなくて、余計な仕事が増えないように、ただひたすら現状維持。でも残業しないで帰ったりすると「あいつ仕事足りてないんだな」って思われるから、忙しく必死で頑張ってるふりをして、仕事増やされないように牽制したりして。

 

そうやって騙し騙し数年働いていくうち、日々の生活から「楽しい」とか「やってみたい」とかいう感情が消えていって、もうほんとにネガティブの化身そのもの。口を開けば愚痴ばかりになっていた。

通勤の帰路、家まであと10メートルぐらいのとこで意味わかんないぐらい涙が出てきたりして、自分がどんどん、何かに蝕まれて、ヤバいぐらいダメになっていくのを実感した。

 

 

 今から考えると、あれ鬱だったわ、って思う(生きててよかった)。

100時間残業とかそういうレベルのもんじゃ全然なくて、パワハラとかでもないし、会社はそれなりの優良企業だったと思う。

でもだからこそ逃げ道がないというか。

完全に自分だけが、ヘタレの根性無しで、誰にでもできる仕事ができない、できそこないの人間だと思ってた。

世の中には相性ってもんがあって、どんなに頑張っても音程とれない人や料理できない人や絵が描けない人がいるように、ただその場所が自分に合わなかっただけなのだと。

今ではそんだけのことだったなーと思えるんだけどさ。

その頃はやっぱそうは思えなくて。

 

「いつか…」なんてぼんやりと考えていた未来なんて、永劫来るわけない。

もうその道は断たれて、この道はもう絶対にその未来には繋がってないんだ。

自分はこのまま、それこそ“死んだ魚の目”で、クソみたいな日々を繋いでいくだけだ。

もうきっと1歩もそこに近づいたりはできないんだー、って。

もうほんとに、ずっと絶望してた。

 

 

 

そんでまあ、そういうストレスみたいなのが実際、頭痛とか眩暈とか、食欲不振とか瞼の痙攣とか、身体にも症状として出るようになった頃。

年明け頃だったかな、社内の壁にかかった新しい年のカレンダーで、3月の会議の予定かなんかを確認する機会があって。

それが2か月毎のページだったので、必然的に3月/4月のページを見る。

で、そのページを見たときに、

「あれ、4月?もうすぐ新年度?4月も自分はここでずっと同じように仕事すんの?」

ってふと思った。

それでもう1ページめくって5月/6月のページを見て、そしたらもう本当に目の前が真っ暗になった感覚があって。

あれ?あれ?って。

視覚的にはもちろん見えてるんだけど、意識がついていかないというか、むしろ遠ざかっていくというか。

 

で、その感覚が消えないまま迎えた、その週末。確か日曜日だったと思う。

近所のスーパーに買い出しに行って、イヤホンつけてipodをシャッフル再生して。

帰宅して、荷物を床に置いて、何気なく部屋にかけてたカレンダーを見た。

 

そしたら、やっぱり4月以降のことがまるっきり見えないの。

これからこのカレンダーを埋めていくだろう予定のうち、一つとして、自分のことのように思えない。

それがでもやっぱ自分なんだよな…と想像すると、吐き気がして。

 

それで、なんかふと、そうか、自分の場所ってここじゃないのかも。と思った。

 

思った瞬間。

つけっぱなしにしてたイヤホンから。

歌詞が、急に鮮明に耳に飛び込んできた。

 

  そしてその身をどうするんだ 本当の孤独に気付いたんだろう

 

どきっとした。

思わずそこから紡がれる言葉に耳を傾けた。

 

  死んだ心をどうするんだ 忘れた振りして覚えてんだろう
  突き放しても 捨ててみても どこまでも付いてくるって事

 

なんだこれ?

なんでわかんの?

今、心が死んでるとか、忘れられなかったものがあるとか、

そういうの、なんでわかんの?

自分でもわかんないまま、死にかけてたのに。

 

  置いていかれた迷子 遅すぎた始まり
  さあ 何を憎めばいい
  目隠しをしたのも 耳塞いだのも
  全てその両手

 

そうだった。

現実と向き合うのが辛くて、未来を見ようとするのがとにかく痛くて、ずっともう、見ないふりをしてきた。

うまくいかない全部を人のせいや環境のせいにして、自分はもう終わったんだ、変われないんだと絶望して。

でもそうしてきた正体が、実は、この自分の両手だったんだ、と気づかされた。

 

 

そして曲は続く。

やさしく諭すように、励ますように、

あっち見てみなよ、と指で示すように。

 

  選ばれなかった名前を 呼び続けてる光がある

  隠れてみても 逃げてみても いつかは照らされるって事

  眩しいのは最初だけ 目隠し外せ

 

  ほら 夜が明けた

 

カレンダーの先の日々塗りつぶすような、真っ暗な闇が広がった眼前。

そこへ急にものすごく眩しい光が差し込んできた、と思った。

 

選びたい未来をもし選んだとしたら?

もしかして、そこへたどり着けるのかもしれない。

無理だ無謀だと目をそらしてきた、その未来へ続く道を、今ここで選べば。

だって、曲は言ってる。

 

  ロンリーグローリー 大丈夫 どうやら歩ける

 

そうか。

踏み出してみれば、案外歩けるのかもしれない!

 

そう思ったら、何にもねえやと思ってたこれからの日々が、急に眩しく光り出した。

自分の未来に「命」が宿った気がした。

 

  歩き出した迷子 足跡の始まり
  ここには命がある
  選ばれなかったなら 選びにいけ
  ただひとつの栄光

 

ホントになんなの?

この曲ってもしかして自分が書いたの?(んなわけない)

流れてくるその言葉を、一言も聞き逃すまいと、身じろぎもしない自分。

 

  ロンリーグローリー 最果てなど無いと知る
  この歩みよりも もっと速く 飛び続けてる光ならば
  オンリーグローリー それこそが狙うトロフィー
  特別じゃない この手を
  特別と名付ける為の光

 

 

 

気がついたら、ipodをぐっと握りしめて、部屋の真ん中に立ってた。一人で。

イヤホンから流れ込んできたその見えない何かで、背中の辺りがワーっと熱くなって、それが上の方まで上がってきて、目から涙が出てきた。後から後から出た。

ひらけた視界がキラキラしてて、とにかく止まんなくて、棒立ちのまま上向いて、しばらく声出して泣いた。

 

「仕事やめる。明日会社に言う」

そのあと何度も何度もこの曲を聴き返しながら、決めた。

この時の興奮は、翌朝になっても消えなくて、迷いもなくその日、上司に伝えた。

 

 

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ほんとに今でも、シャッフル再生(BUMPだけじゃない、全曲シャッフルよ)してたipodから、あの瞬間に「オンリーロンリーグローリー」が流れたの、偶然じゃないんじゃないかって思ったりする。

 

世界って、見えない力か何かで、

「あんたはこうした方が幸せになれるよ。その気があるなら手助けするよ」

みたいな感じで、いろんな場面で進むべき方角を示してくれる時があって。

BUMPの曲は、そういうなんか言葉じゃ説明できないようなものを代わりに伝えてくれたり、自分でも気づいてなかった自分の気持ちを言語化してくれたりしてくれる気がするんだよなぁ。

自分と世界を繋いでくれて、繋がった世界の風景を見せてくれる、みたいな。

(あ、宗教じゃないヨ。ただの信者ダヨ)

 

 

今の自分だって、相変わらずこの先の未来は全然見えてない。当たり前だけど。

でも、絶望?鬱?ちゃんちゃらおかしいわ!って笑いながら毎日生きてる。

 

それはこの曲が、あの日、真っ暗で何も見えなかった未来を、

眩しくて何も見えない未来に変えてくれたからなんだ、と今でも思ってる。

 

 

www.bumpofchicken.com